2023年8月30日から9月11日に、本ゼミの11名(修士学生:1名、学部4年:3名、学部3年:7名)が、アフリカ東部に位置し、高原では平均標高2300mとも謳われる国家、エチオピアに赴き、研修を行いました。エチオピアでは、首都アディスアベバ、地方都市ジンマの2都市を訪れ、現地大学生との交流・"母なる木"と呼ばれるコーヒーのマザーツリー・現地の日本企業の訪問など、日本ではできないような経験を得ました。以下に、その様子と感想を共有したいと思います。
現地での活動
学生交流
エチオピアの首都・アディスアベバに到着した翌日には、アディスアベバ大学にて、現地大学生と交流を行いました。
最初のコーヒーブレイクではエチオピア料理を振る舞っていただき、その後は、お互いの大学を紹介しあったり、
ゴミ問題や労働人口問題に関してディスカッションをしたりしました。
現地の方々の考え方や、文化を知るとても貴重な機会になりました。
アディスアベバ大学での交流
発表の様子
ディスカッションの様子
別れ際の交流
ジンマでの活動
学生交流の翌日から4日間は、地方都市ジンマに滞在しました。
コーヒー発祥の地と呼ばれるマザーツリーの森を訪れたり、ボンガ大学でコーヒーの植林体験をしたりしました。
現地の方の声を実際に聞くことで、エチオピアのコーヒー産業や農村での生活に対する理解が深まりました。
また、首都アディスアベバとの比較によって地方格差の深刻さを肌で感じました。
「コーヒーの原木」といわれるマザーツリーの前で
現地の方からコーヒーの栽培について説明を受けました
丸太を渡るのはスリル満点でした
ボンガ大学のキャンパスツアー
学長のお話を伺いました
コーヒーの植林の様子
企業訪問
ジンマからアディスアベバに戻った翌日には、JICA、JETRO、日本大使館を訪問しました。
さらにその翌日には、中国の工業団地を訪問した後、世界銀行の職員の方にお話を伺いました。
お会いした全ての方が私たちの疑問に丁寧に答えてくださいました。
異なる立場や視点からエチオピアの課題にアプローチする姿は非常に興味深く、自分の将来を考えるきっかけにもなりました。
JICA訪問
JETRO訪問
Woda Industrial Parkのタイル工場見学
世界銀行訪問
🗣 研修に参加しての感想
8月30日、晩夏の太陽が落ちようとしている出発先の成田空港にいる時には、
果たしてどんな世界が待ち受けているのか一切想像もつきませんでした。約15時間近くのフライトを乗り越えた後に見た景色は、
日本とは全く異なる街並み。首都アディスアベバにて宿泊していたホテルの隣のビルは先進国目線では廃ビルのように見え、
その上部は実際に木材のみで建物が支えられていました。しかし、交通量や実際に外に出ている人々の数は多く、
夜でさえもいわゆる郊外のような人がまばらな状態ではなく、絶え間ない車のクラクションも合わさり、生き生きとした町でした。
また、途上国の中でも同じ系統の店が集まっているような箇所がありました。
実は、その現象は、自分たちが学部1年や2年で習ったような経済学的な理論で説明がつくことでした。
特徴的な事象に気づけるような「なぜ?」という疑問を持ち、想像力を働かせて考えることは常日頃からできる習慣だと感じました。
それを一人だけで考えるのではなく、同じゼミのメンバーや先生と共有し、議論を交わすなど、コミュニケーションの重要性も痛感しました。
学問は知見や選択肢を広げるものとして一般的に認識されていますが、学ぶことにより"今まで気づけなかったことに気づく"力を身に着けることができると感じました。
学問は実際の日常の場面では軽視されることが多いですが、知識を点と点で結ぶことができれば、
自分たちの可能性や複雑な問題解決の可能性という様々なアクターに対する希望を見いだせることを実感しました。
自分はこれまで、一人で深く一つのものごとに関して考え込むことが多かったのですが、
チームで議論を交わすことや大学交流でのプレゼンの準備、交流そのものを通して、
チームで何か物を成し遂げることの可能性を感じることもできました。
自分や他のメンバーの可能性を狭めないためにも、何か小さな気づきでも恐れずに共有し、
残りの大学生活とゼミライフを楽しみたいと思います。
今回の研修を通じて、途上国の経済成長について考えるときに、その国の文化や政治体制、歴史、
国民の気質などを多角的に学ぼうとする姿勢が必要だと感じました。首都のアディスアベバや地方都市のジンマで博物館を
訪れる機会が、研修中には多くありました。そこで、エチオピアが多民族国家だという特性や、国民が自身の歴史や文化に
誇りを持っていること、社会主義の特徴が色濃く残っていることなどを学びました。こうした背景を知ることは、
途上国の課題を分析し、政策提言を行う過程で不可欠だと思います。
また、現地の人々の生活に目を向けることも重要だと実感しました。ジンマの農村では、森林伐採が進み山の岩肌が露出していました。
一方、木を切らなければ生きていく術がないという人が多く存在するのが実情で、それは自力で商売を始める環境や知識がなく、
雇用不足が起きているためだと知りました。更には、同じ農村で道路の一部が陥没しており、通行が困難な箇所がありました。
しかし、その先には比較的綺麗で新しい道路が広がっていました。それは、現地の人々が限られた資金を活用し、
少しでも生活を便利にするために道路を延ばした痕跡だったのです。このことから、道路の質が悪く修復もされていないのは、
長さを優先していたからだとわかりました。
こうした現状を目の当たりにして、自分の中での途上国の課題に対する考え方が「外部からの視点」に留まっていたことに気が付きました。
開発経済学の論文や教科書を読み、「効果を示す定量的なデータがあるのだから、この解決策を提案すればいい」と思っていたことに対しても、
導入によるリスクや現地の人々の不安を十分に検討できていなかったと感じました。現状の課題には理由があり、その裏には現地の人々の「生活を良くしたい」という思いがあります。もちろん、今回の研修に参加しただけでエチオピアの人々の視点を持てるようになったとは思いません。ですが、まずは現地の人々に寄り添い、理解しようとする姿勢が重要だと再認識することができました。今後の学習では今回の経験を活かし、現地の人々の視点から課題と向き合いたいと思います。そして、また機会があればエチオピアや他の途上国を訪れて見聞を深めたいです。